『エスペラント日本語辞典』(付録より−2)

 もっとこの辞書について書きそうなので、7月28日の記事より、カテゴリー[V]を追加する。
 今日は、全部で8つある「付録」のうち、3番目、4番目について少し。(目次はここ)。

「品詞とその形態」

 ここにはエスペラントの入門書でおなじみな「品詞語尾一覧」、「分詞形」、「人称代名詞」や「相関詞表」などの表が載っている。
 類書と比べた特徴としては次のことがあるだろう:

  • 品詞語尾-eのつくのを、「派生副詞」といい、語尾なしの「本来副詞」と区別している。
  • 人称代名詞に-aがついたものを「所有形容詞」としている。(所有代名詞ではない)。
  • 「相関詞」は便宜的なことばとして、-oは「代名詞」などと、この付録の冒頭であげた品詞名をあげている。

 また、語尾なしの語については、「基本数詞」、「前置詞」、「本来副詞」、「等位接続詞」、「従属接続詞」と「間投詞」として、どんな語があるか表にしてある。注意すべきことは、ここにあげられているのが全てではない、ということだ。

  • 「前置詞」では、表以外にapud, po, por などがあるし、派生語の mal|antaŭ などもある。
  • 「間投詞」でhで始まるのには、表以外に hi, hu などがあるから、h の後の全ての母音があることになる。

「造語法」

 エスペラントの造語法には、次の2とおりがあるが、これについて記している。

  • 語根に語尾をつける、接辞をつける「派生」。
  • 語根を積み重ねる(そして、多くは語尾をつける)「合成」。

 特にここでは「語幹」(単語から語尾をのぞいた部分)という用語を使って説明をしている。
 特徴的な記述としては、「接尾辞」のところで、「形容詞を作る接尾辞」として-ebl|a など、「名詞を作る接尾辞」として-an|oなどと、品詞語尾をセットにした紹介をおこなっている。もちろん、「決まった品詞性のない接尾辞」もあり、-eg-, -et- などをあげている。
 「合成」のところは、第1語根と第2語根が名詞的にはたらく、形容詞的にはたらく、などという説明がでてきて、最近出た文法書でいえば、藤巻謙一「まるごとエスペラント文法」の第3章に相当する内容をコンパクトにまとめている。