鶴=gruo、『夕鶴』

吉兆、凶兆

 gruo/ツルは、日本ではtestudo/亀とならんで縁起が良いとされる。そして、中国のサイトでツルのことをかいたところをみても、ツル、特にruĝverta gruo/丹頂鶴、タンチョウヅルは吉兆として尊ばれたことがわかる。ただ、北欧などの国では、ツルを凶兆として捕らえる文化もあるようだ。それだから文化は面白いのかもしれない。ところで「丹頂」は頭の頂(verto)が赤いが、首(kolo)から上、くちばしまで赤いのがruĝkola gruo/オオヅルで、インド・東南アジアに住むそうだ。そのほかの種類のツルも含めて、いつものとおりVikipedioのgruoの項はいろいろと知識を与えてくれるが、kongreso/大会の語源について、「ラテン語congruereというツルの集まるさまから来ている」という説明はまゆつばものである。

木下順二の『夕鶴』

 民話「鶴の恩返し」に題材をとるも、文明批評と芸術性を両立させた戯曲に木下順二の『夕鶴』がある。そのエスペラント訳は"Vespera Gruo"であり、宮本正男が訳している。Don Harlowの書評は高く評しているが、Hm, Ha, Hej などの合いの手の言葉が多すぎるのが気になる、としている。この訳から、つうの有名なせりふ、人間界の「金」がわからないという嘆きの一節を引用する(原文は添えません)。

Aĉeti? Kio estas tiu aĉeti? Kio estas tiu bonaĵo? Kion vi deziras krom havi min ĉe vi? Ne, ne, nenion vi deziru krom mi. For, for, la mono, for, for, aĉeti!