相関詞表のひっこみ・でっぱり

 エスペラントを学ぶと、かならず「相関詞表」とか「ザメンホフの表(Zamenhofa Tabelo)」に行き当たる。この表のウェブ版はいくつかあるが、いんみ〜さんの「エスペラント:未来の国際共通語」サイトにある「相関詞」を推す。ひとつには、文法用語として、「代形容詞、代副詞」を導入しているが良いと思えるから。なお、このサイトは、「論説」「言葉の仕組み」などそろっていて、学習者が考えや知識をまとめるのによいと思うし、またブログも持っておられる。
 さて、「ひっこみ」とは、実はこの相関詞表の5×9=45語の中では、あまり出番がない語につけた愛称である。例えば、上記のサイトの表では、日本語が載っていない nenial。「どの理由でも〜ない」にあたり、Ŝi nenial koleras. なら、「彼女はどんな理由があっても怒らない」となる。逆に「彼女は理由がなくても怒る」なら、Ŝi koleras senkaŭze. だろう。
 「でっぱり」は、この表にのっていないものである。頭の5語のうち、neni-は、ふつうの語根として、うしろを変えるもの・・・・「neniigi/まったく無しにする、絶滅させる」,「neniiĝi/全くなくなる、絶滅する」などと使われる。こちらは問題がない。
 問題があるのは、後ろの9語を使って頭に6番目をすえようという案である。具体的には ali-。これは[alia 他の、別の],[alie 他のように、別のように]という使い方をしている。だから、いくら何でもkia, kieにならってalia, alie は使えない。しかし。。。と考えた人たちがいた。[aliu 他の人],[alies 他のひとの],[aliel 他の方法で] のように使う。文なら[malsano de aliuj 他人の病気(=malsano de aliaj homoj)][ŝteli alies valizon 他人のカバンを盗む(=ŝteli valizon de alia homo)]である。しかし、この使い方、一部の才走った人には好評だったものの、あまり好ましくないということで、Plena Ilustrita Vortaroでは、aliuは載っていず、aliesは避けるべき語(vorto envitinda)の扱いになっている。まあ、妥当だろう。