たぬき=niktereŭto

狸(タヌキ:学名Nyctereutes procyonoides)は日本人にはなじみ深いが、西洋ではほとんど知られていない。procionhundo(直訳すると「アライグマ・イヌ」)と呼ばれることもあるが、日本人が学名から広げたと想像するniktereŭtoがよく使われる*1。もっとも、「しょうじょう寺のたぬきばやし」の歌の訳ではtanuki-a orkestroが使われているが。
 この語は、日本文学のエス訳では良く出てくる。日本人が書いたエスペラント・オリジナル(+日本語対訳)のSF小説"Rej Virtuala"*2では、"Sovaĝaj mamuloj, kiuj vivas ĉirkaŭ homo. Nutraĵon ili ricevas. Sed ili ne fidas homon."と紹介されている。しかし、日本以外ではどうだろう。Spomenka ŠTIMEC(スポメンカ・シュティメッツ)の本に出てくるというが、これも日本旅行記である。前にも紹介した電子辞書REVoではHirotakaが1997年に書いた、次の文が用例として示されている:mi ... vidis la desegnofilmon „Batalo de la niktereŭtoj“ 。変わったところでは、ユーモア・風刺と漫画の(ウェブ)雑誌"Vola Püg'"(ヴォラピュグ、と読ませるのだろう)に"Ĉu vi konas 'niktereŭto'n?"という絵のページがあった。冒頭の絵はどうみてもアライグマだが、中には日本から収集したと思われる挿絵もある。

*1:新撰和エス辞典に「属名」として載っている。この語はPIVには載っていない

*2:狂言の翻訳で紹介したSIMATANI Takesi による